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カビにご注意石にご注意椅子をどうぞ
椅子をどうぞ(ロンドン)
美術館でのスケッチ「怒られるかと思ったら」

凝った調度品に、壁一面 の絵。訪れる人も少なく、落ち着いた雰囲気の、とある個人の邸宅を改装した美術館でのことです。

美術館や博物館に行くと、スケッチしたくなるのですが、日本では禁止されていることが多いせいか、海外でもスケッチしたら怒られるのではないかとビクビクする癖がついていました。

この日も近くに係りの人がいないのを確認してから、こそこそと何点か素早くスケッチしていました。やがて、あるコーナーで馬の鎧を見つけ、それを描きたくてたまらなくなりました。すぐそばに係りのおばさんが座っています。どうしよう。スケッチしていいか聞いて駄目と言われたらイヤだったので、怒られるまでスケッチしてしまおうと思いました。幸いスケッチを始めて、係りのおばさんと目が会っても何も言わないので、そのまま続けていました。

ところが、しばらくすると係りのおばさんが立ち上がって、通りかかった他の係りのおじさんに話しかけ、ふたりが私のほうを見ているではありませんか! さらにに、係りのおじさんが私の方にまっすぐ近づいてくるのです。

今度こそスケッチはダメと言われるのかも。
でも、まだスケッチは終わってない。
終わるまで、待って〜。
心の中で叫びながら、心臓がドキドキしていました。

そして私の前にやってきた係りのおじさんが、言ったのです。
「スケッチするなら椅子を持ってきましょうか?」
ほっとするとともに予想もしなかった優しい心遣いが嬉しくて、この美術館がとっても好きになりました。


椅子をどうぞ(カイロ)
エジプトの壁画のスケッチ「疑ってごめんなさい」

とある古代エジプトのお墓の中でスケッチしていた時のことです。お墓のすみのほうに墓守りのおじさんが退屈そうに座っていました。彼らはたいてい「バクシーシ(喜捨)」を要求してくるので、できるだけ目をあわさないように、小さくしゃがみこんで壁画をスケッチしていました。

しばらくすると、墓守りのおじさんが近づいてきました。
「やっぱりバクシーシを要求しに来たか」
私は小さくため息をつきました。

頼んでもいないのに、あとをついてきては「バクシーシ」、道ばたに咲いている花を差し出されて受け取ったら「バクシーシ」と、バクシーシ攻撃にはうんざりしていました。
この場から逃げたいけれど、まだスケッチしたい。
スケッチしてるんだから邪魔しないで。こっち来ないで。
心の中で叫んでみても、墓守りのおじさんは私のすぐ近くにやってきました。

ところが、このおじさんは違ったのです。
転がっていたバケツを拾いあげ、近くにあった「No flash(フラッシュ禁止)」と書かれた看板をバケツの上に載せて即席の椅子を作ると、私に座れと言ってくれたのです。さらにお墓の中のライトの位置を動かして、私がスケッチしているところを照らしてくれました。そしてバクシーシのバの字も言わずに、先程、座っていた場所に戻って行ったのです。

蒸し暑いお墓の中で、すっかり疲れきっていたのに、それを全部、吹き飛ばしてくれる程さわやかな気分になりました。

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